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朝食を終えた私と彼と言えば、バラバラで登校。
確かにまさか同居してますなんて友達、または先生に知られる訳にはいかないでしょうと丁寧に教えてくれた草壁さんの意見は最も。
その後に“まぁ、バレたら委員長は力づくで納得させるでしょうが”と笑いながら言った草壁さんに苦笑いしか出来なかった。
…雲雀さんの学校での権力ってどれくらいなんだろう。
こっそり、そんな疑問を頭に思い浮かべていた。
「あの、草壁?さん」
「はい」
「…雲雀さんは、どのような人ですか?」
私の問いかけに意外だとばかりに目を開き、先程の冗談ではない真剣な顔で私を見てきた。
自然と、背中が震える。
「凪さんはどんな人だとお思いになりましたか?」
「…え?」
「あぁ、こちらの興味本位で聞いているのでご心配なく」
まさか聞き返されるとは思わなくて、私は考え込む。
たくさん、本当にたくさんの彼の謎が知りたい。
でもそんなこと言える立場でもない。
私は草壁さんを見て、戸惑いがちに呟いた。
「……強い、人だと」
「そうですか」
「…でも、弱い人」
その言葉に驚いた草壁さんは、それでも私に何か言うでもなく、続きを促す。
「…強いから、脆い気がするんです」
彼の強さは秀でている。
だから、奥底の弱さをいとも簡単に隠してしまう。
内心その痛みは尋常ではないハズなのに、人にバレないようにうまく隠しながら生きようとしている。
「…私にはそのように感じませんでしたが、凪さんはそう感じたのでしょう?」
「……はい」
「なら、私が言えることはひとつです」
首を傾げていると、草壁さんの声が低く、さらに重くなる。
「どうか、お側に」
「……え、?」
「何もしなくていいんです。ただ何かあった時に、恭さんの傍にいてください」
「…それ、だけ?」
「充分ですよ」
それだけで、いいんです。
草壁さんのその言葉に、何かが私の中で芽生え始めていた。
「ぐっどもーにんぐです!凪ちゃん!」
「おはよう…ハル」
はい!と元気よく返事を返してくれたハルは本当に太陽みたいで、周りも暖かくしてくれる存在。
どうしたら私もそのような存在になれるのだろうか。
彼の為に。
…彼の、ため…?
どうしてそんなことを思ったのだろうか。
「はひ?凪ちゃんどうしましたか?」
「な、何でもない!」
慌てて首を横に振ると、ハルはいかぶしげにこちらを見てきたが、私は逃げるように教室に向かう。
途端。
「……きゃ!」
「ぅお!」
前をよく見てなくて、ぶつかってしまった。
慌てて謝ると、よく見れば。
「嵐の人…」
「なんだってんだ…おい」
「はひー!!獄寺さん!凪ちゃんいじめないで下さいっ!」
「んな!いじめてねぇよ馬鹿女!」
「その言葉がいじめって言うんですよ!知らないんですか!」
「お前の基準はなんなんだよ!」
呆然とその光景を見ていると、後ろから花がおはよ、と眠そうに私に話しかけてきた。
私が二人をどうしようかと慌てていると、花は笑いながらほっときなさい、と言った。
「大丈夫よ。獄寺も満更でもないみたいだし」
「そうなの…?」
「この前ハルに煙草のことを言われたらしくてね…これまたしつこかったらしいんだけど、今は半分は吸う量が減ってるはずだからね」
そうなんだ、と二人に視線を戻す。
仲がいいな、と考えてふと思い出す。
そういえば…嵐の人は雲雀さんを知って…
私は二人に駆け寄っていく。
「凪ちゃん!こんな野蛮人に近付いたらダメです!」
「誰が野蛮人だ!クソ女!」
「そういうとこがっ!」
「あの…雲雀さん、」
私が呟いた途端、二人の動きが止まった。
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