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ぽちゃん。ぽちゃん。

少女の細い指によって、角砂糖が次々とブラックホールへと飛び込まされる。


次はミルク。くるーっとミルク差しを回しながら。丁度、いつか見た、銀河系の写真のようだった。

よくかきまぜて、マグカップを両掌でしっかりと包み込む。クロームの掌の中には宇宙が広がっているのだ。

「ん、甘い。」
幸せそうにコーヒー(もはやそう呼んでいいのかわからなくなっている)を飲んでいるクロームを目の端に捉えながら俺は彼女が持ってきた報告書を読んでいる。

「ねえ、ボス。」
「何?クローム?」
「女の子はね、お砂糖で出来ているんだって。だから、いっぱい甘いもの食べていいんだって。」
真直ぐに俺の目を見て言った。
「誰に訊いたの?」
「ひみつ。」
クフフ、とあの特徴的な笑いを零した彼女を驚きの目で見た。
クロームは幸せに満ちた顔で、またコーヒーを口に運んでいる。
誰か好きな男でも出来たのだろうか。
それならば俺としては喜ばしいこと。ただ、どこか抜けているこの少女が変な男に引っ掛かかっていないかは心配だ。





その日の夜、暫らく出張にでていた雲雀さんが帰ってきた。
「綱吉、これお土産。」
珍しく俺の部屋に寄って(明日はきっと大雨だ)箱に入ったお菓子(どこだったか、有名な店のものだ)を差し出した。
「ありがとうございます。………でも、こんなにどうするんですか…?」
雲雀さんはたくさんのお菓子が入った紙袋を持っていた。
この人が周囲にお土産を配ったりするはずがない。
「ああ、これ?砂糖で出来ている僕の恋人へのお土産。」
さらり。


今、雲雀さんがさらりと爆弾発言しましたよね。
「恋人…、ですか、。」

そういえば、砂糖で出来ているって誰かも言っていたような。



俺が事の真相に気付くまであと6秒。




甘い夢ごと召し上がれ


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