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「苦しいの?」

冷徹な印象を与える、白い病室のベッドの上で熱にうなされている凪の手を握り訊く。


かなりの高熱のため、息が荒く、目は涙で潤み、握った手はとても熱い。



医師(と言っても“あの”保健医だが(僕は反対したのに))の診断では、細菌性の発熱ということだった。



彼女が倒れたとの一報が僕の元に届いたのは一昨日の夕方。

沢田達とアフタヌーンティーをしているときに急に倒れたらしい。そこから急いでボンゴレの系列の病院に運ばれ、点滴を受けているが回復の兆しが一向に見えない。


「ねえ、凪、苦しいの?」

凪が薄い意識とはかない呼吸の間に小さな首肯を示した。


「大丈夫だよ。この世で一番苦しいのは、誰にも愛されないことだから。君はその苦しみを知っているだろう?それ以上に苦しいことなんてないんだから乗り越えられるよね?」

彼女の小さな手を、彼女よりは大きな僕の掌で包んでやれば、再びの首肯。
辛い苦しい思いをしている君に僕ができることなんて本当にちっぽけで取るに足らないけれど、何もしないよりはマシだと思うから。

側にいることしかできないけれど、それでもいいかい?



明日の朝君は魔法にかかる
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