08.
1ヵ月ぶりの並盛の空気に思わずホッとしてしまう。
漸く彼女に会える。
ずっと電話とメールはしていたけれど足りないのだ、彼女が。
逸る気持ちを抑えながら自らの執務室へと足を急がせる。
いくら会いたいとは言っても仕事を疎かにはしない。
本音は何よりも彼女を優先したいけれど。
それにきっとアレもデスクに置かれているはず。


「お帰りなさいませ、恭さん」
「ああ、ただいま。僕がいない間、何もなかったかい?」
「はい、並盛には特に異常はありません。・・・例のモノはいつも通りに」
「わかった、もう下がっていいよ」


哲の言う通りに僕のデスクの重要書類の一番上にそれは置いてあった。
ぱらりぱらりと捲っていく。
ふーん、前回よりも多くなってるね。
それに項目が更に増えてるし・・・。
何これ、僕がいるのを知っててやってるわけこいつら。
さすがだね哲、ここまで詳しく調べてるなんて。
それじゃあそろそろ彼女の所へ行こうかな。
もちろんその前にこのリストに上がってるやつらを咬み殺してからだけど。
有能すぎる部下
元の位置に戻されたその書類のタイトルは
≪クロームさん接触者リスト≫作成者:草壁哲也
リスト項目は挨拶した者から彼女を襲った者まで
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