12月に入り、今年も残りわずかとなった頃。
僕と凪は寒い中、並森商店街を歩いていた。


毎年この時期になるとここに巨大なクリスマスツリーが飾られるため、2人で行くのが好例となった。


買い物に来る主婦はともかく、僕たちみたいにツリーを目当てに来るカップルも少なくない。


きっとこの時期はいつもより群ている。


この人だかりを見る度に咬み殺したくなる衝動に駆られるが、凪の悲しむ顔は見たくないから我慢する。


つくづく僕も甘くなったものだ。(まぁ、凪がいなかったらきっと咬み殺すだろうけどね。)








「やっぱりいつ見ても大きい…。」
感動するわ。と、はにかみながら僕に言う。




「凪はあの頃から全然背丈が変わらないからね。」
からかうように言えば「少しは大きくなったもの。」と頬を膨らまし、ツリーの前まで駆けて行った。





そこから図ったように雪が降り、その後ろ姿が教会にでも現れそうな天使に見えた。











「……ねぇ、凪。」






凪の手をきつく握りしめ、今日どうしても言いたかった言葉を告げた。




 
12月の花嫁。









(結婚しようか。)






(この言葉、震える手、本当僕らしくない。)


(でも、この全てに偽りはないよ。)


(君にはいろんな僕を見てほしいんだ。)





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