今年十八になるクロームは、高校卒業後の進路で、ある二択を迫られていた。


一つは、『卒業後、十代目の待つイタリアへ渡り、正式なボンゴレの霧の守護者として本格的に任務に就く』というもの。

そしてもう一つは、『卒業後に結婚しようと告げられている恋人の申し出を受け、そのままマフィアの世界から足を洗う』というものだ。



正式にマフィアの幹部になるか、結婚して妻になるか。
もしもこの選択がクロームではなく、十八の普通の少女に課されたものならば、間違いなく少女は後者を選ぶだろう。


しかし卒業まで半年を切った今も、クロームはまだこの選択に答えを出せずにいた。
今の恋人との結婚が考えられないのかと問われれば、そうではない。むしろ、結婚するなら、今の恋人しかありえないと思っている。けれどクロ―ムは、一足先にイタリアへ渡った骸や黒曜のメンバー、それに十代目の事がどうしても気掛かりになっていた。


自身を初めて必要としてくれた骸、初めての仲間、温かな手を差し伸べてくれた十代目。この人達の為に自分が出来る事、返せるものは……?


その答えと、愛という感情を与え教えてくれた、最愛の恋人との未来。




それは十八になるクロームにとって、あまりにも重すぎる人生の選択だった。


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